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 第241回 遺伝子機能解析部門セミナー(9/12)
「ユーグレナって本当に使えるの?−バイオ燃料生産に必須の基礎科学−」
 
第241回 遺伝子機能解析部門セミナー
第362回 細胞工学研究会講演会

日時:平成30年 9月12日(水)16時00分〜17時00分
場所:島根大学生物資源科学部1号館1階101室

演題:ユーグレナって本当に使えるの?
   −バイオ燃料生産に必須の基礎科学−
演者: 粟井 光一郎 氏(静岡大学理学部生物科学科)

 ユーグレナはユーグレノゾアに属する原生生物で,緑藻由来と考えられている葉緑体を持つ光合成生物(二次共生藻類)である。嫌気条件で培養すると,中鎖脂肪酸(C14)を用いたワックスエステルを合成することが知られており,これがジェット燃料として有用であると考えられている。このため,これまでワックスエステルに関する研究は数多くなされてきたが,生体膜を構成する膜脂質や貯蔵脂質など,脂肪酸を用いる他の成分に関する研究はあまり注目されていなかった。
 我々は膜脂質や貯蔵脂質を含むユーグレナの脂質分析手法を確立し,膜脂質組成が植物と非常に近いこと,培養条件を変えることでそれらの組成が変化することを見出した。具体的には,光を当てて培養すると光合成を行うための葉緑体が発達し,培地にグルコースを入れると,呼吸活性の上昇によりミトコンドリアが発達するというある意味当然のことを,光合成・呼吸活性の測定,タンパク質含量の定量,膜脂質含量測定,細胞の蛍光観察により定量的に明らかにした(Shibata et al, 2018)。
 今回確立した脂質分析手法により,脂肪酸を含むユーグレナの主要なエネルギー化合物がどのように分配されるかを調べることが可能となった。そこで,ワックスエステルが蓄積する嫌気条件で培養した際の炭素分配を調べたところ,光従属栄養条件で培養した株を嫌気条件に移すと,分解された貯蔵物質(パラミロン)のうちおよそ7割がワックスエステル合成に用いられ,残りの3割が別の化合物へと流れていることがわかった(Shibata et al, in preparation)。このことは,この3割の代謝の流れを変えることで,ワックスエステル合成を増強できる可能性を示している。
 本発表では,バイオ燃料生産に上記のような基礎研究が重要であること,高生産株を作出した後,実用化のために超えるべきハードルについても議論したい。

Shibata S, Arimura SI, Ishikawa T, Awai K (2018) Alterations of membrane lipid content correlated with chloroplasts and mitochondria development in Euglena gracilis. Front Plant Sci. 9: 370.

Shibata S, Nakazawa M, Ishikawa T, Awai K (2018) Energy flow determines contents of membrane and storage lipids in Euglena gracilis. in preparation.
(2018.09.05)
 

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