第95回 平成15年1月17日
(第203回 細胞工学研究会講演会)
演題 分裂酵母におけるヒストンの修飾とヘテロクロマチン構造の維持
中山潤一(理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター)
 染色体の基本単位であるヌクレオソームを構成するヒストンは、アセチル化、メチル化、リン酸化等の修飾を受け、これらの修飾は個々の遺伝子の発現調節から染色体の構造維持に至るまで、様々な役割を持つことが明らかになってきている。セントロメアやテロメアで見られる高度に凝集したヘテロクロマチンは、染色体の機能に必須な構造であり、また遺伝子の発現抑制や不必要な組換えの抑制にも関わっている。このヘテロクロマチン領域のヌクレオソームを構成するヒストンは、古くから低アセチル化状態にあることが知られていたが、最近になってヒストンにメチル基を導入する酵素の発見によって、ヒストンの特異的な部位のメチル化修飾がヘテロクロマチンの構造維持に重要な役割を果たしていることが示唆されていた。我々は、分裂酵母を用いた研究によって、ヘテロクロマチン領域のヒストンに実際に特異的なメチル化修飾が存在し、またその後のヘテロクロマチン蛋白質Swi6の結合に重要な役割を果たしていることを明らかにした。今回は最近の知見を紹介するとともに、どのようにヘテロクロマチン構造が形成・維持されるのかそのメカニズムを議論したい。(演者記)
 
←戻る


©島根大学 総合科学研究支援センター 遺伝子機能解析部門 shimane-u.org