第44回 平成10年5月16日
(第150回 細胞工学研究会講演会)
演題 組換えDNA食品の安全性評価
滝波弘一(島根大学生物資源科学部、遺伝子実験施設)
 組換えDNA技術が実用化された最初の例は、大腸菌の細胞内に生合成されたヒトのインスリンであり、1982年に世界最初の組換えDNA医薬として米国で認可された。組換えDNA食品の第1号は1994年に米国政府が認可した"日持ちのよいトマト"である。その後、ダイズ、コーンと続き、この技術が食用作物の品種改良に有用であることが認められ、いろいろな植物について各国で1000件を越える試験が実施されている。  20世紀後半の優れた科学技術の一つである組換えDNA技術に対して、当初は、起こりうるかも知れないリスクに対処するために、各国政府は実験指針(ガイドライン)を制定した。しかしながら、技術の実用化が進むにつれ、大規模実験、製造物の安全性、環境への影響等に対するガイドラインが新たに必要となってきている。これらの現状について、演者が研究開発に関係した3つの事例を説明しながら解説する。また、組換えDNA食品の表示問題にどのように取り組むべきかを考える。
 
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