第37回 平成9年11月26日
(第143回 細胞工学研究会講演会)
演題 ラン藻アラニン脱水素酵素の三次元構造とアミノ酸脱水素酵素の進化
Patrick J. Baker(Krebs Institute for Biochemical Research, The University of Sheffield)
 アミノ酸脱水素酵素は、L-アミノ酸の可逆的脱アミノ化反応を触媒する酵素であり、窒素代謝系で重要な役割を演じています。また、本反応はアキラル(ケト酸)からキラル(アミノ酸)への転換を伴いますので、工業化学的にもきわめて有用であり注目を集めています。
 Baker博士は、英国シェフィールド大学Krebs研究所David Rice教授グループの新進気鋭のクリスタルグラファーであり、これまで常温菌、好熱菌、超好熱菌由来のグルタミン酸脱水素酵素、ロイシン脱水素酵素など多くのBタイプ補酵素立体特異性を持つアミノ酸脱水素酵素の構造決定を行ってきておられます。昨年度末、日英科学協力事業の成果として、松江温泉より単離した好温性ラン藻由来のアラニン脱水素酵素の結晶化に成功し、Aタイプアミノ酸脱水素酵素として初めて三次元構造が明らかにされました。今回は、その成果でありますラン藻酵素の三次元構造の詳細とアミノ酸脱水素酵素そのものの全体像・タンパク進化・耐熱化機構・新規アミノ酸脱水素酵素のデザイン等をわかりやすく解説していただきます。
 
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