第29回 平成9年5月8日
(第134回 細胞工学研究会講演会)
演題 肝細胞の周辺
長屋 敦(島根大学生物資源科学部)
 動物の腹腔内で最も目立つ、大きな暗赤色の臓器が肝臓である。肝臓の主要な機能は、消化器からの吸収物質と血液の間の調整を行うことであり、この機能は、動物の生命の維持に不可欠なものである。
 肝臓の機能に障害を与える大きな原因の一つに各種肝炎ウイルスがあり、B型およびC型肝炎ウイルスは疫学的に肝がんの発生と強い相関がある。特にB型肝炎ウイルスではウイルスゲノムDNAが肝がん細胞の染色体に組み込みを起こすことがある。この組み込みに関する研究を第一の話題として取り上げたい。
 また、肝臓の機能を担う肝細胞は、その機能と密接に関連した構造をしており、その細胞膜は均質ではない。肝細胞の細胞膜は血流に面した側低面と、細胆管とそれに続く消化管内腔に面した頭頂面の二種に分かれた極性を持つ。この極性が肝臓の機能の本質の一端である。第二の話題として肝細胞の極性について取り上げたい。(演者記)
 
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