第211回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第330回 細胞工学研究会講演会)
演題 Stable Isotope Probing (SIP) - Coupled Raman Microspectroscopy: See the Unseen in Single Cell Biology
ヘマンス ヌータラパティ 氏(島根大学医・生物ラマンプロジェクトセンター)
 ラマン分光法は,分子の振動スペクトル情報から分子構造,分子環境などを知ることができる分光法の一種で,そのスペクトルは,しばしば「分子の指紋」と呼ばれる。ラマン分光法の最大の特長は,前処理無しに,あるがままの試料のラマンスペクトル測定が可能である点である。高感度のCCD検知器,高性能の各種グレーティング,フィルターの使用などによって,生細胞・生組織に損傷を与えることなく,ラマンスペクトルのリアルタイム測定が可能になりつつある。このため,医・生物分野での応用が極めて盛んになっている。ヘマンス助教は,炭素の安定同位体を種々の割合でグルコース培地に混在させることによって,分裂酵母の代謝に伴って化学構造を変化させる生体分子のラマンスペクトル変化の詳細な追跡と帰属が可能であることを明らかにした。本講演では,解析手法の詳細,解析に用いたSVD法,multivariate法などについても解説していただく予定である。

参考文献
1. Exploring Metabolic Pathways in Vivo by a Combined Approach of Mixed Stable Isotope-Labeled Raman Microspectroscopy and Multivariate Curve Resolution Analysis, H. Noothalapati and S. Shigeto, Anal. Chem., 86, 7828?7834(2014)
2. Stable Isotope-Labeled Raman Imaging Reveals Dynamic Proteome Localization to Lipid Droplets in Single Fission Yeast Cells, H. Noothalapati and S. Shigeto, Chem. Biol., 19, 1373-1380(2012)
3. Leucine Pools in Escherichia coli Biofilm Discovered by Raman Imaging, H. Noothalapati, N. Nomura and S. Shigeto, J. Raman Spectrosc., 42, 1913-1915(2011)
 
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