第152回 平成19年8月3日
(第261回 細胞工学研究会講演会)
演題 Gluconobacter属酢酸菌の酸化発酵を支配するPQQ-グリセロール脱水素酵素と呼吸鎖Cytochrome bo3 oxidase
松下一信(山口大学農学部)
 酢酸菌の「発酵」は呼吸鎖にリンクした「酸化発酵」と呼ばれる特異なシステムです。Acetobacter 属酢酸菌の酢酸発酵がその典型ですが、Gluconobacter 属酢酸菌の酸化発酵であるソルボース発酵や5-ケトグルコン酸発酵の解析がそのゲノムが明らかになったこともあって、最近大きく前進してきました。
 Gluconobacter 属酢酸菌の細胞膜には、これらの酸化反応に関与する数多くの膜酵素(キノプロテインやフラボプロテイン)が存在しており、さらにその呼吸鎖末端にはシアン感受性とシアン耐性の複数のユビキノール・オキシダーゼが存在しています。最近、私たちは、そのソルボース発酵と5-ケトグルコン酸発酵は、単一のキノプロテイン・グリセロール脱水素酵素とシアン感受性末端オキシダーゼ・Cytochrome bo3 によって行われていることを示唆する結果を得ています。今回、これらの研究成果を紹介するとともに、酢酸菌がどのように「酸化発酵」(物質生産)と「資化反応」(細胞合成)を使い分けるのかの「生理学」について考察したいと思います。(演者記)
 
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