第150回 平成19年6月30日
(第259回 細胞工学研究会講演会)
演題 健康機能性遺伝子組換え米の開発・・・医療への貢献
高岩文雄(農業生物資源研究所・遺伝子組換え作物開発センター)
 長寿社会を達成した日本は、他の先進国には見られない急速なスピードで超高齢化社会に向かって進んでいます。しかし、食生活を始めとした生活スタイルの変化から、高血圧症、肥満症、糖尿病などのいわゆる「生活習慣病」の患者数は増加しており、深刻な社会問題となっています。また、国民の5人に一人はスギ花粉などが原因の花粉症で苦しんでいます。このような中、植物バイオテクノロジーを利用して、栄養成分、健康機能性成分、そして医薬品的な成分を付与した遺伝子組換え作物の開発が進められています。従来の耐病・耐虫性、除草剤耐性などの農業形質を付与した遺伝子組換え作物を「第1世代の遺伝子組換え作物」と呼ぶのに対して、消費者の健康や生活の質の向上に寄与しうる上記作物は「第2世代の遺伝子組換え作物」と呼ばれています。講師の高岩文雄博士は第2世代の遺伝子組換えイネの開発を推進されており、その成果は国際的に高い評価を受けています。
 最近、高岩博士らは花粉症ワクチン米を開発し、その有効性をマウス臨床試験により検証されました。このお米はスギ花粉症の緩和につながることから「花粉症緩和米」と呼ばれ、その実用化が待ち望まれています。今回は医療への貢献が期待される、第2世代の遺伝子組換え米の開発状況についてご紹介していただきます。
 
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