第114回 平成16年7月9日
(第222回 細胞工学研究会講演会)
演題 ユビキチン類似タンパク質(MNSFβ)による免疫調節機構と転写後修飾
中村守彦(島根大学共同研究センター)
 マウスT細胞ハイブリドーマが産生するmonoclonal nonspecific suppressor factor (MNSF) は2つのサブユニットで構成されるサイトカインとして演者らが見出した、抗原非特異的サプレッサー因子である。免疫応答を負に調節する活性サブユニットMNSFbは、分子量8Kのユビキチン類似タンパク質で、ユビキチンに33%の同一性を示す。MNSFbは標的細胞であるマウスリンパ球系癌細胞株の細胞膜上の受容体を介して細胞内へ情報を伝達し、増殖反応および炎症性サイトカイン産生を抑制する。一方、ユビキチン化と同様に、MNSFbは種々の細胞内標的タンパク質に共有(イソペプチド)結合し、細胞機能を調節する。例えば、MNSFbはアポトーシスに関わるBcl2ファミリーに属するBcl-G を標的とする。MNSFbのC末端グリシン残基(Gly74)とBcl-Gのリシン残基(Lys110)とのイソペプチド結合による複合体形成が細胞の生存を調節する。ユビキチンおよび他のユビキチン類似タンパク質と対比し、MNSFbによる細胞内タンパク質の修飾について最新の知見を含め紹介する。(演者記)
 
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