天然の蛋白質のアミノ酸配列とは異なった配列を持つ蛋白質を蛋白質工学の手法を用いて合成することは、近年日常化しつつあります。演者はこれまで天然ヘム蛋白質の構造を主としてNMRによって解明し、構造と機能の関係を明らかにしてきましたが、最近、ミオグロビンやヘモグロビンのような酸素貯蔵機能をもつヘム蛋白質をアミノ酸置換することによって、これらのヘム蛋白質に含まれる種々のアミノ酸残基が果たしている役割がより一層明らかにされ、新たな機能性蛋白質の分子設計への道を拓くものとして注目されています。今回はその成果について分かり易く説明していただきます。