第65回 平成4年7月7日(火)

演題 有用遺伝子の解析と利用
   駒野 徹(京都大学農学部)
 
 各方面で遺伝子の解析がなされるようになり、遺伝子の基本的な構造と機能が明らかになってきた。しかし、生物間で共通の原書を支配する遺伝子の構造には、対応する蛋白質の多様性により差があることもまた、理解されるようになってきた。遺伝子の構造変化は生物の進化と深く関わりがある。それ故、同一機能を有するタンパク質の遺伝子を、多くの生物について解析することは意義有ることであると共に、遺伝子工学的手法を用いて有用物質を生産する際に用いる遺伝子の利用方法を顧慮することも又重要である。
 このような観点から、形質転換生物の構築を中心に最先端のホットな興味深い話題を、分かりやすく解説されます。
  遺伝情報は全ての生物にわたって共通です。では何故、蛙の遺伝子は蛙を作り、微生物の遺伝子は微生物を作るのでしょうか。その秘密は何所にあるのでしょうか?駒野教授は、遺伝子の構造と機能に関して日本を代表する科学者の一人として国際的に活躍されています。カリフォルニア工科大学に留学時代、遺伝子の複製に関する画期的なモデルを提唱、それは今ではローリングサークルモデルとなって認められています。1991年度、日本農芸化学会賞を受賞。