単細胞生物のゾウリムシ属は大きな細胞口を持ち、長さ15μmの桿菌や直径10μmの粒子でも食胞内に取り込める。そのため、ゾウリムシ属では、これまでに60種以上の細胞内共生細菌と様々な共生藻が発見されている。我々は、真核細胞と原核細胞の細胞内共生(一次共生)の仕組みを解明する材料としてゾウリムシとその核内共生細菌ホロスポラを使い、さらに、真核細胞どうしの細胞内共生(二次共生)の仕組みを解明する材料としてミドリゾウリムシとその共生クロレラを使って、宿主から単離した共生生物をアポシンビオテイックな宿主と混合し、同調して細胞内共生を誘導する最適条件を開発した (Fujishima and Kodama, 2014)。これらの実験系を用いて初めて明らかになった細胞内共生が成立するまでに行われる現象を解説する。
Fujishima M., Kodama Y. Insights into the Paramecium-Holospora and Paramecium-Chlorella symbioses. In, Cilia/flagella and ciliates/flagellates, (Eds) Hausmann K., Radek R., Schweizerbart Science Publishers, Stuttgart, pp. 203-227, 2014 (Jan14). ISBN 978-3-510-65287-7