演者らは、日本各地よりオイル産生藻類の収集を行う過程で、緑藻のモデルであるクラミドモナスの日本新産培養株を確立した。これまでのクラミドモナス研究の多くは1945年に米国で単離された株を用いており、本株を交雑可能な新しい遺伝資源としての提供している。クラミドモナスも増殖に優れ、窒素栄養欠乏下で中性脂質を蓄積する。そこで、光同調可能なタービドスタット培養系を構築し、細胞形態の時間変化を解析した。また、メタボローム(大規模代謝物質)解析を中心とする定量解析や安定同位体を用いた標識代謝物質追跡によりオイル蓄積時の網羅的代謝解析を進めている。これまでの成果について失敗談を交えて紹介したい。また、微細藻類の燃料以外への産業利用として、廃水処理と飼料のタンパク源としての利用についても議論したい。(演者記)