IAAの生合成経路は複数提唱されているが、現在のところアミノ酸であるトリプトファンがその前駆体であるとする説が有力である。ただしトリプトファンからIAAに至る経路の解明は不十分である。植物中のトリプトファンに関して、近年我々はフィードバック非感受性に改変したイネ由来のアントラニル酸合成酵素遺伝子を過剰発現させることにより、含量を顕著に増加させることに成功している。このようなトリプトファンを過剰に蓄積する植物は前例がなく、IAAの生合成や代謝に何らかの影響が生じている可能性が推測される。今回はこの形質転換植物を用いて現在進めているIAAとその代謝物の分析、さらには新規代謝物の探索に関する研究を紹介します。(演者記)