やがて、1994年頃からゲノムプロジェクトが始まり、解析するべき大量のデータが生産されると、バイオインフォマティックスは膨大なデータを解析する手段として生命科学の研究者に注目されることになった。そして、現在においては、バイオインフォマティックスは生命科学の研究者にとって必須のものになりつつある。
さて、このように発展してきたバイオインフォマティックスであるが、現在は、生命科学と情報科学の境界分野であるがゆえに弊害が出てきているように感じている。そして、その弊害は、データベースの分野において特に現れているようであるが、理解している人は少ない。
今回は、まず、生命科学と情報科学の境界分野であるバイオインフォマティックスの流れをたどると共に、それを概観する。時間があれば、バイオインフォマティックスにおける流行のキーワードである隠れマルコフモデルについて触れる。そして、上で述べたバイオインフォマティックスに潜んでいる弊害について述べ、弊害への対処について述べる。最後に、新たに見えてきた可能性、バイオインフォマティックスを通した生命科学の教育について触れる。(演者記)