第224回 平成16年9月25日
(第116回 遺伝子機能解析分野セミナー)

演題 植物形態進化を引き起こした遺伝子進化
   長谷部光泰(基礎生物学研究所)
 
内容概要: 現存する全ての生物は約40億年近く前に生じた1つの共通祖先から進化してきた。従って、原生生物に見られる多様性は、40億年間に蓄積した突然変異によって引き起こされたものである。そして、生物の進化過程の痕跡は、原生生物のゲノム上に記されている。異なった生物間で、ゲノムの配列情報、および、ゲノム情報によって生み出される遺伝子の働きを比較解析することにより、どのように進化がおきてきたかを解明することができる。  発生進化研究に必要な進化学、系統学の基礎を植物の例を用いて、植物の生殖器官である花、栄養器官である茎葉がどのように進化してきたかについて古生物学、形態学、発生学の知見を整理する。そして、近年モデル植物で明らかになってきた形態形成の分子機構の基礎について講述する。最後に両者を統合し、花や茎葉がどのような遺伝子のどのような変化によって引き起こされたのかについて最近の知見を考究する。