第218回 平成16年5月26日
(第110回 遺伝子機能解析分野セミナー)

演題 無脊椎動物(Aplysia)中枢神経系における摂食・吐き出し応答のスイッチ機構
   成末憲治(島根大学生物資源科学部)
 
 動物は食物を摂取するとき、生体にとって有益なものや美味しいと感じるものを取り込み、有害なものやまずいと感じるものを避けるという嗜好性に基づいた食物選択を行う。食物の種類や特性を認知し、動物の記憶や経験に基づき適切な行動を選択することは生命を維持していく上で重要である。動物が食物などの刺激に反応して行動するとき、まず生体のもつ特殊に分化した受容器が応答し、その活動は神経情報として中枢神経系に伝えられる。これら情報は中枢内で統合処理され、筋肉などの効果器に様々な運動パターンを発現する。動物が食物の種類に応じて適切な行動を選択するためには、受容器と効果器との間を媒介する中枢神経系の活動が適切に切り替わる必要がある。本セミナーでは行動が切り替わるときの中枢神経系における運動パターンのスイッチ機構について、軟体動物腹足類に属するアメフラシ(Aplysia)の摂食行動研究(行動解析・Ca2+イメージング・電気生理学的研究など)から明らかになった最近の成果を紹介する(演者記)。