第184回 平成13年11月21日
(第77回 遺伝子実験施設セミナー)

演題 動脈硬化発症をおこす低比重リポ蛋白酸化におけるリポキシゲナーゼの関与
   吉本谷博(金沢大学大学院)
 
 低比重リポ蛋白(LDL、Low density lipoprotein)の酸化は、動脈硬化巣形成の最初の重要なステップと考えられている。我々はこれまで、血管内皮下のマクロファージに発現している12/15-リポキシゲナーゼがLDLの酸化に必須であることを示してきた。しかしながら、マクロファージ細胞内に存在する12/15-リポキシゲナーゼが、どのようにして血清中のLDLを酸化するかについては明らかにされていない。マクロファージによるLDLの酸化には、なんらかの細胞膜受容体が関与していると考えられる。マクロファージに発現してLDLに結合する受容体には、LDL receptor、LDL receptor-related protein(LRP)や scavenger receptor などが知られている。これらの受容体がどのようなメカニズムで、LDLの酸化・動脈硬化発症に関与するかについて紹介したい。