第154回 平成10年9月3日
(第47回 遺伝子実験施設セミナー)

演題 ダイズタンパク質の構造と機能の遺伝子工学的探索
   内海 成(京都大学食糧科学研究所)
 
 ダイズタンパク質は、ヒトの血清コレステロール値を低下させる機能を持っており、生活習慣病の増大や高齢化社会の到来が問題となっている我が国にとって、その利用を拡大することが望まれる。ダイズタンパク質は、植物タンパク質の中で、栄養性、加工特性が優れているが、動物性タンパク質と比較すると劣っている。従って、その用途を拡大するためには、特に、加工特性の改善が必要である。ダイズタンパク質は、グリシニンとコングリシニンを主要成分としているがともにマルチサブユニットタンパク質であり、しかも複雑な分子種の多様性を示す。これらの構造と加工特性の関係を明らかにするためには、均一サブユニット組成の分子種を調製する必要があるが、ダイズからでは非常に困難である。そこで、大腸菌発現系を利用して均一分子種を調製することによって解決することにした。本講演では、コングリシニンに関する一次構造から高次構造の解析と加工特性の解析を中心に分かり易く紹介する。