第117回 平成8年5月21日

演題 ウシにおける脂肪細胞分化とビタミンA
   松井 徹(京都大学農学部畜産学科)
 
 牛肉の輸入自由化により、日本における牛肉生産は厳しい状況下に置かれるようになりました。その中で、牛肉生産を維持発展させる方法の一つは、海外では出来ない高級牛肉を生産することです。
 日本では、脂肪交雑の度合いが牛肉質ひいては価格を決定する最も重要な要因です。現在、ビタミンA欠乏によって脂肪交雑を向上させる飼育技術が一部の牛肉生産に用いられています.動物分子生物学の発展により、ビタミンAは■に及ぼす影響の他に、多種の細胞の分化調節に関連していることがあきらかとなって来ました。ビタミンA欠乏によるウシの脂肪交雑の向上に、脂肪細胞の分化が関与している可能性が考えられます。
 このような動物細胞と畜産の領域における先端科学技術を解説していただくとともに、松井研究室で行われている"ウシ脂肪細胞の分化に及ぼすビタミンAの影響"の研究結果についても紹介していただきます。