第104回 平成7年7月12日
(第5回 遺伝子実験施設セミナー)

演題 アラキドン酸代謝酵素の分子生物学
   吉本谷博(金沢大学医学部)
 
 ヒトにとっての必須の栄養成分のアラキドン酸に由来するプロスタグランジン関連化合物は、循環器、呼吸器、神経系、炎症、そして免疫などにおいて重要な生理機能を持っている。いろいろな種類のプロスタグランジン類はmアラキドン酸にシクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼが作用して作られる。シクロオキシゲナーゼには、COX-1とCOX-2の愛想フォームがあり、COX-2は腫瘍プロモータのTPAや種々の成長因子で誘導され、細胞の増殖分化や炎症に関与している。また、リポキシゲナーゼにも、5-、12-および15-リポキシゲナーゼがあることが知られている。これらの酵素の構造と機能について、最近の分子生物学を中心に紹介したい。