第100回 平成7年3月4日(土)
(落合英夫教授退官記念講演会)
(第3回 遺伝子実験施設セミナー)

演題 水と光とラン藻と
   落合英夫(島根大学遺伝子実験施設、農学部)
 
 「今でも不思議に思うことがある。近眼になるのは、眼球の中のタンパク質が光化学的に変性するのである。近眼を防ぐには、この光化学反応を阻害すればよい。近眼治すには、この変性タンパク質を再生してやればよい。ただこれだけの事が何故出来ないのだろう。島根大学に在籍して25年である。この間、この疑問は常に脳裏にあった。定年になったら、本気でこの問題に取り組もうかと思ったりする。うまく行けば、これこそ人類福祉に貢献する事が出来るだろう。
 農学部では、眼球は研究素材としては取り扱いにくい。その代わり、地球上の全ての生命を創り、維持し、育てている植物の光合成がある。「光」という物理エネルギーがどの様なカラクリで、生命という高次元のエネルギーに変わり得るのだろう。なんと、ここにもタンパク質が活躍しているではないか。この地球上で、初めて光エネルギーを使って、あの安定な「水」分子を分解し、無機化合物の炭酸ガスを有機物へと固定し始めた、「ラン藻」とはどんな生物なのか?
 多分、想像を超えた素晴らしい生物であるに違いないラン藻を調べれば、地球上のいろいろな、難問題もあるいは解決できるのではないか?」
 落合先生が、34年間にわたるライフワークの大変興味深い御研究について、分かり易く、楽しく最終講義をされます。どうぞお誘い合わせの上、ご気軽に、知る人ぞ知る「落合節」をお楽しみ下さい。お待ちしています。