第98回 平成15年5月12日 (第206回 細胞工学研究会講演会)
演題 ニホンナシ成熟果実のエチレン生成のメカニズムと貯蔵に関する遺伝子診断法の開発
板井章浩(鳥取大学農学部)
 エチレンは、上偏生長、花芽形成、種子発芽、離層形成、果実成熟促進などの生理作用に関わる植物ホルモンの一つである。果実はその呼吸生理活性の変化からクライマクテリック型とノンクラマクテリック型に分類される。クライマクテリック型果実の大きな特徴として、成熟に伴いエチレン生成がみられ成熟が促進されることにある。ニホンナシ品種果実のエチレン生成は、全く生成の見られないノンクライマクテリック型のものから非常に大量に認められるクライマクテリック型のものまで品種によって著しい差がみとめられ、そしてそのエチレン生成能が貯蔵性と密接に関与している。鳥取県の名産二十世紀梨は世界15ヶ国以上に輸出されているが、そのもっとも大きな理由として、エチレン生成能が低く、貯蔵性がいいことが挙げられる。そこでニホンナシにおいてエチレン生成量の著しい品種間差異を生じる原因を明らかにすべく、エチレン生合成経路のKey酵素(ACC合成酵素、ACC酸化酵素)のクローニングを行い、解析を行ったところ、品種によりユニークな制御機構が存在することが明かとなった。さらにニホンナシにおける成熟エチレン生成の遺伝様式も明らかにし、貯蔵性がよい新品種育成のための遺伝子診断法の開発も行ったので、それらの結果について紹介したい。(演者記)
 
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