第64回 平成12年9月27日
(第171回 細胞工学研究会講演会)
演題 ダイズタンパク質高含有米の開発と展望
内海 成(京都大学食糧科学研究所)
 ダイズタンパク質は、人の血清コレステロール値を低下させるなどの健康維持・増進性を備えている。しかも、植物性タンパク質の中で栄養性、加工特性(加工食品の製造を可能にする性質)とも優れている方である。したがって、人口増大と環境悪化に伴う食糧不足、及び食源性疾患の増大と高齢化社会の到来という21世紀の食糧問題に対処する上で注目すべき食品タンパク質である。一方、コメタンパク質は、そのような健康維持・増進性や加工特性をあまり備えていない。また、リシンを制限アミノ酸としている。しかし、ダイズタンパク質はリシンを豊富に含んでいる。ダイズタンパク質は、グリシニンとコングリシニンを主要成分としているが、グリシニンが血清コレステロール値低下能の多くを担っていると考えられている。コメタンパク質の主要成分であるグルテリンは、グリシニンと基本構造、生合成過程に多くの共通点を持っている。したがって、グリシニンはコメでグルテリンと協調的に大量蓄積できる可能性がある。これを達成できると、健康維持・増進性と加工特性の付与、そして栄養性の改善という一石三鳥の効果を期待できる。しかし、グルテリンはコメの胚乳部、グリシニンはダイズの胚部と子葉部に蓄積する。そこで、蓄積部位の問題、プロモーターの相性などを形質転換・植物体再生の容易なタバコを用いて解析し、その結果に基づいてダイズタンパク質を高含有するコメの開発を行った。本講演では、その結果と我々の将来計画について紹介する。
 
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