第62回 平成12年7月5日
(第169回 細胞工学研究会講演会)
演題 脂肪細胞の分化・増殖機構と肥満のターゲット分子
河田照雄(京都大学大学院農学研究科)
 必要量以上にカロリーを取りすぎると、脂肪として体に蓄積してしまう。これはヒトが生存するために獲得した一種の卓越した"能力"である。最近、そのような「太るメカニズム」が脂肪細胞の分化・増殖機構に関して分子レベルで詳しく明らかになってきた。一方、ヒトを含む多くの動物は、脂肪を燃焼し体脂肪の過剰蓄積を防ごうとする特殊な能力も合わせ持っていることも明らかとなってきた。糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病(成人病)の成因が脂肪組織の過剰蓄積(肥満)に起因することが明らかとなってきたことから、この「やせるメカニズム」の解明が今後の肥満や生活習慣病研究の鍵となるであろう。本講演では、脂肪細胞を中心としたこのような生体におけるエネルギー備蓄バランス機構の最近の知見を我々の結果も交えながら紹介したい。
 
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