第46回 平成10年7月8日
(第153回 細胞工学研究会講演会)
演題 アラキドン酸リポキシゲナーゼの最近の研究展開と生理機能
吉本谷博(金沢大学医学部)
 細胞が刺激されるとホスホリパーゼが活性化されて、アラキドン酸の放出、血小板活性化因子やリゾホスファチジン酸などの脂質メディエーターが産生される。これらの脂質メディエーターは、細胞内タンパクと相互作用して細胞機能を調節している。アラキドン酸からは、シクロオキシゲナーゼによってプロスタグランジン類、リポキシゲナーゼによってロイコトリエンなどの強力な生理活性物質が合成され、炎症・免疫系、心臓血管系、神経系などにおいて重要な生理作用を持っている。リポキシゲナーゼは、アラキドン酸への酸素添加の位置とその一次構造によって分類されており、これまで5-、12-、15-リポキシゲナーゼの存在が確認されている。最近になって動物組織に次々と新しいリポキシゲナーゼが発見されたことにより、その分類を見直す必要が生じてきた。現在のところ酵素の一次構造から、5-リポキシゲナーゼ(ヒトやラット白血球など)、12-リポキシゲナーゼ(血小板)、12-リポキシゲナーゼ(マウス皮膚など)、12/15-リポキシゲナーゼ(ブタやヒト白血球など)、8/15-リポキシゲナーゼ(マウスやヒト皮膚など)の5つのサブファミリーに分類することができる。今回はリポキシゲナーゼ研究の最近の知見と神経系における酵素の生理機能について紹介したい。
 
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