第45回 平成10年3月12日
(第151回 細胞工学研究会講演会)
演題 葯の裂開がおこらないシロイヌナズナの変異体dad1のクローニングと機能解析
石黒澄衞(京都大学大学院理学研究科)
 シロイヌナズナでは、開花と同時に葯が裂開し、花粉が葯の表面に露出する。このとき破れる部分は口辺細胞(stomium)と呼ばれ、1層の小さな細胞からなる組織である。我々は約1,000系統のT-DNA挿入系統をスクリーニングし、開花後も葯の裂開が起こらない突然変異体defective in anther dehiscence1 (dad1) を見いだした。クローニングの結果、DAD1遺伝子はリパーゼと考えられるタンパク質をコードしていた。
 dad1変異体の若いつぼみに0.1%のリノレン酸溶液を塗布したところ、葯の裂開と花粉成熟が見られ、自家受粉が起きるようになった。リノレン酸の代わりに、500uMのジャスモン酸メチル溶液を用いても同様の結果が得られた。リノレン酸はジャスモン酸の前駆体であることから、DAD1タンパク質はジャスモン酸生合成経路の最初のステップに働くリパーゼであり、生成されたジャスモン酸が葯の裂開を引き起こすシグナルとして働いている可能性が考えられる。(演者記)
 
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