第250回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第372回 細胞工学研究会講演会)
演題 「2型糖尿病感受性遺伝子Ildr2と脂肪肝進展」
渡邉 和寿 氏(自治医科大学・分子病態治療センター人類遺伝学研究部)


 肥満の進行に伴い肝臓に中性脂肪が蓄積する脂肪肝は、2型糖尿病の重要なリスク因子であるだけでなく、慢性的な炎症を伴う脂肪肝炎は高頻度で肝硬変を発症し、肝がんへ進展する。特に、炎症が背景にあるメタボリックシンドロームと相まった脂肪肝炎からの肝線維化は動脈硬化疾患を増悪させるため、脂肪肝の肝線維化進行を抑制することは重要である。しかし、脂肪肝から肝線維化進行への機序は未だ不明な点が多く根本的治療法がないため、その治療や予防法を確立するための病態分子機序の解明は急務である。
 我々はこれまでに、遺伝背景の異なる2系統の肥満マウスを用いたポジショナルクローニング法により、新規糖尿病感受性遺伝子Ildr2 (Immunoglobulin-like domain-containing receptor 2)を同定し、Ildr2発現が低いコンジェニックマウスでは膵β細胞の減少、インスリン分泌低下による高血糖が惹起されることを明らかにした。また、野生型マウス肝臓におけるILDR2ノックダウンにより脂肪肝が誘導すること、肥満マウスにおけるILDR2過剰発現は脂肪肝を改善することに成功した。
 本講義では、我々が同定した新規糖尿病感受性遺伝子Ildr2がどのように脂肪肝発症・進展に関与するかについてお話ししたい。


 
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