第227回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第348回 細胞工学研究会講演会)
演題 「酵素・核酸の分子進化とともに」(澤 嘉弘 教授 最終講義)
澤 嘉弘 氏(島根大学生物資源科学部生命工学科)


 1979年に島根大学に赴任して松江しんじ湖温泉より単離した好温性ラン藻の窒素代謝系に興味を持ち、グルタミン合成酵素 (GS) を抽出・精製し酵素化学的性質を検討したのが始まりである。とにかく、それ以降、GSのアデニリル化調節の分子機構解明、アラニンデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸デヒドロゲナーゼ、トリプトファンシンターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンラセマーゼ、L-アスパラギン酸オキシダーゼ、フェニルエチルアミンオキシダーゼ、ヒスタミンオキシダーゼ等のアミノ酸代謝関連酵素や色素脱色型ペルオキシダーゼの酵素化学的特性の解明を中心に研究を行ってきた。酵素源としてはラン藻や常温性細菌が多かったが、ゲノムDNAが容易に入手できる時代となるにつれ、精製の容易な超好熱性細菌やアーキアも使用した。いくつかの酵素についてはX線結晶構造解析にも成功し、構造機能相関から応用を目指した分子設計へと進展した。そのツールとして総合化学計算ソフトMOEの存在も大きいものがある。2012年頃までは計算精度も甘く一部の機能を除きあまり使い物にならなかったが、ここ数年、特に最新バージョンMOE 2016.08では計算精度が飛躍的に高まり、十分に分子設計やバーチャルスクリーニングのツールとして利用可能となっている。
 2000年代に入りT-RFLPフラグメント解析や次世代DNAシーケンサーを用いて微生物フローラ解析やメタゲノム解析を行った。T-RFLP用に16-18S rDNAデータベースの構築とアナライザーソフトウェアをMS Visual Basic. Netで開発した。
 総じていえば酵素・核酸の分子進化・多様性とともに歩んだ38年だったような気がする。本日は時間の関係で「アデニリル化調節型グルタミン合成酵素の分子進化」、「アミノ酸デヒドロゲナーゼの構造と機能、生理的役割」、「アミンオキシダーゼの基質認識と分子設計」、「DyP型ペルオキシダーゼ (AnaPX) の触媒機構」、「T-RFLP法による微生物フローラ解析」などのトピックスの概説を予定している。
 
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