第225回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第346回 細胞工学研究会講演会)
演題  「微小管伸長端結合タンパク質の新規結合様式」
松尾祐児 氏(英国フランシス・クリック研究所)


 細胞骨格の一つである微小管はα-sチューブリンを基本単位として構成される動的な極性ポリマーであり、細胞内物質輸送、細胞の形態維持、細胞分裂など多様な細胞機能に重要な役割を果たす。微小管の重合・脱重合反応は非常にダイナミックであり、このような不安的な動態は動的不安定性と呼ばれ、伸長・短縮・カタストロフィー(伸長から短縮への転換)・レスキュー(伸短縮から伸長への転換)という四つのパラメーターにより制御される。
 細胞内では様々な微小管結合タンパク質がこの動的不安定性を調整することで微小管の長さや配置を時空間的に制御しているが、その中でも微小管伸長端に結合する微小管伸長端結合タンパク質(+TIPs)が近年の研究で非常に重要な機能を担っていることがわかってきた。数ある+TIPsの中でも酵母からヒトまで広く保存されているEB1ファミリーとXMAP215ファミリーの二種類のタンパク質群は自律的に伸長端に結合・集積する特徴的な性質を持つことから、立体構造解析や試験管内再構成系などにより特に解析が進んでいる。
 演者らは分裂酵母においてXMAP215ホモログであるDis1とEB1ホモログであるMal3がこれまで知られていなかった新規の結合様式で直接結合することにより、染色体分配の正確性を保証していることを見出したので英国での研究生活と共に本発表で紹介したい。
 
←戻る


©島根大学 総合科学研究支援センター 遺伝子機能解析部門 shimane-u.org