第223回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第344回 細胞工学研究会講演会)
演題  「非モデル生物のマルチオミクス解析 - クモ糸とクマムシの解析」
荒川和晴 氏(慶應義塾大学先端生命科学研究所)


 当研究室では、クモ糸とクマムシという二つのメインテーマに取り組んでいる。
  • クモ糸はその強靭さや再生可能性などから、次世代の高機能合成構造タンパク素材として注目されており、我々は革新的研究開発推進プログラム(ImPACT・鈴木PM; http://www.jst.go.jp/impact/program/06.html)の一部として、クモ糸の高機能発現メカニズムを明らかにするために1,000種類のクモトランスクリプトームの配列決定を進めている。得られた配列を系統解析し、また同時に進行しているプロジェクトから得られるクモ糸の網羅的物性測定データと照らし合わせることによって、特定の物性に寄与する配列構造を明らかにできると考えている。
  • クマムシは独自に緩歩動物門を形成する脱皮動物であり、乾燥に伴う完全な脱水により、可逆的に生命活動を停止した乾眠と呼ばれる状態に移行することができ、この状態では宇宙空間への曝露に代表されるようなさまざまな極限環境への耐性を示す。我々はクマムシのマルチオミクス解析によって乾眠の分子機構を明らかにしてきており、またその進化を緩歩動物門の網羅的シーケンシングによって解析している。
 本講演ではマルチオミクス解析及び網羅的シーケンシングという共通のアプローチを軸にした、クモ糸とクマムシという二つの対象の研究について紹介する。
 
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