第216回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第335回 細胞工学研究会講演会)
演題 「生物:物理」フィードバックによる自己発展系
   -ミドリムシの外部刺激応答と利用-
尾笹 一成 氏(理化学研究所・前田バイオ工学研究室)


 微生物の外部刺激に対する応答をセンサーや情報処理(soft-computing)などに利用できれば、生物の生存戦略(柔軟性・強靭性・自律性)を機能として活用できると期待される。講演では、我々が行っている生物材料と物理系との間のフィードバックの考え方を紹介し、これまでの研究の流れと現在取り組んでいるトピックスを取り上げる。
外部刺激に対して応答する微生物として、ミドリムシ (Euglena gracilis)を用いている。マイクロ流路の閉チャンバー内にミドリムシのグループを閉じ込め、外部刺激を与えた場合の応答をセルの運動と分布として計測する。計測結果に基づき任意のアルゴリズムを用いてリアルタイム光フィードバックを行う。これによって「生物:物理」フィードバック系が自律的に発展していく。アルゴリズムを工夫するとニューロコンピューティングや擬似フェロモン効果などが実現できている。ミドリムシの光応答は一定ではなく、光順応を示す。セルの運動形態を分類するとその場回転・間欠回転・旋回・不感応と4つのパターンが現れ、その比率が変化していくことがわかった。これには概日性・セル内メタボリズム・光順応がそれぞれ関係しており、柔軟な生存戦略の基礎となっていると想定される。
 
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