第201回 平成25年8月5日
(第318回 細胞工学研究会講演会)
(第7回 島根大学バイオイメージング研究会講演会)
演題 植物機能を支えるペルオキシソーム機能発現の制御機構
−生殖過程における解析を中心として−
真野昌二(基礎生物学研究所高次細胞機構)
 ペルオキシソームは、真核細胞に普遍的に存在するオルガネラで、発芽時における脂肪酸代謝、緑葉組織における光呼吸、オーキシンやジャスモン酸の生合成、活性酸素種の生成と除去など様々な機能を司っている。このペルオキシソームの機能が低下すると、種子の発芽不全や植物体の矮性化、胚発生致死につながることから、植物の示す様々な機能を、ペルオキシソームが支えていることが明らかになりつつある。
 我々は、植物ペルオキシソームの形成や機能発現の制御機構、そしてペルオキシソームが植物の示す機能にどのように関わっているかという点に興味をもって研究を進めている。これまでに、シロイヌナズナのaberrant peroxisome morphology (apem) 変異体の解析から、ペルオキシソームの分裂因子やタンパク質輸送装置の構成因子、ペルオキシソーム膜に局在する小分子輸送体等を同定し、その機能解析を行ってきた。興味深いことに、多くのapem変異体は、花粉の発芽や花粉管伸長、配偶子認識など生殖過程においても異常を示すことが明らかとなった。これまで、生殖過程においてもペルオキシソームが必要であることが示唆されてきたものの、葉や根といった栄養組織と異なり、生殖組織におけるペルオキシソームの機能や形成に関わる知見は乏しい。そこで我々は、生殖組織におけるペルオキシソームの動態、およびペルオキシソーム機能低下による生殖過程への影響について研究を展開してきた。本講演では、生殖過程における研究結果を中心として、植物機能を支えるペルオキシソームの機能発現の制御機構について最近の知見を紹介したい。(演者記)

Goto-Yamada, S., Mano, S., and Nishimura, M. (2013) The role of peroxisomes in plant reproductive processes. In Sexual reproduction in animals and plants. - Edited by Sawada, H, Inoue, N., and Iwano, M. Springer Japan, In press.

真野昌二、後藤志野、坂本亘 (2013) 受精と細胞内小器官、DOJIN BIOSCIENCE SERIES「受精の生物学」 (化学同人、監修:澤田均)、印刷中

Cui, S., Fukao, Y., Mano, S., Yamada, Y., Hayashi, M., and Nishimura, M. (2013) Proteomic analysis reveals that the Rab GTPase RabE1c is involved in the degradation of the peroxisomal protein receptor PEROXIN 7. J. Biol. Chem. 288, 6014-6023.

Mano, S., Nakamori, C., Fukao, Y., Araki, M., Matsuda, A., Kondo, M., and Nishimura, M. (2011) A defect of peroxisomal membrane protein 38 causes enlargement of peroxisomes. Plant Cell Physiol. 52, 2157-2172.

Goto, S., Mano, S., Nakamori C., and Nishimura, M. (2011) Arabidopsis ABERRANT PEROXISOME MORPHOLOGY 9 is a peroxin that recruits the PEX1-PEX6 complex to peroxisomes. Plant Cell 23, 1573-1587.
 
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