第197回 平成24年9月27日
(第312回 細胞工学研究会講演会)
演題 植物における栄養欠乏に応答した生体膜脂質の転換機構の解析とその新しい研究展開
太田啓之(東京工業大学バイオ研究基盤支援総合センター)
 植物や藻類は、栄養飢餓などの環境変化に応じて生体膜の脂質成分を大きく転換し、必要な元素を膜から供給することでストレスに適応していることが知られている。
 我々の研究室では、この膜脂質転換機構の研究をさらに発展させ、栄養飢餓における脂質代謝フローの転換を活用することで、ここ数年、以下のような研究を展開してきた。
1.栄養飢餓における膜脂質転換を活用した葉緑体チラコイド膜の形成機構解析
2.栄養飢餓における膜脂質転換に基づく植物葉での油脂生産
 特に2の研究においては、我々が進めてきた葉における油脂生産の手法が、近年バイオエネルギーの原材料としても注目されている藻類での脂質生産系構築のモデルとなることも分かってきている。植物ではこれまで膨大な脂質代謝研究の蓄積があり、その成果は同じ真核光合成生物である藻類にも活用できると考えられるが、藻類はまだゲノム情報が乏しく、データベースの整備も不十分であり、これまでの植物脂質代謝研究の蓄積を藻類に最大限に活かす状況には至っていない。
 本発表では、近年我々が進めてきた上記1,2の研究を紹介すると共に、植物と藻類のゲノム情報を繋ぐことを大きな目的として我々の研究室で最近精力的に進めている車軸藻類の一種 Klebsormidium flaccidum のゲノム解析の現状について紹介したい。
 
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