第175回 平成22年7月22日
(第288回 細胞工学研究会講演会)
演題 殺虫剤の選択性と多様性を生み出す神経受容体の構造基盤
松田一彦(近畿大学農学部)
 即効的に活性を発揮する殺虫剤の多くが標的とする神経系は,脊椎動物,無脊椎動物のいかんにかかわらず生命にとって重要な役割を演じている。そのため,神経作用性殺虫剤に昆虫選択性を求めることは一見困難なように見えるが,実際には安全性に優れた殺虫剤が多数生み出されている。それは,脊椎動物と無脊椎動物に共通の受容体であってもそれぞれの特有の進化があるためであり,逆に両者の構造的特徴を精密に理解することで,論理的に選択的な殺虫剤をつくることが可能である。
 一つの先導的な殺虫剤がつくられると,先発品の利点を生かしながら,先発品にはない特徴を付与して後発の類縁品が開発される。このようにして生まれた系列化合物の多様性は,標的とする害虫種の違いのみならず,場合によっては活性発現機構の違いまでもたらすことがある。その理屈は,昆虫ゲノム研究と受容体研究手法の進展によって次第に明らかになりつつある。本講演では,これらの話題について,リガンド作動性イオンチャネルを標的とする殺虫剤を対象とした自身の研究例を引用しながら紹介したい。(講師記)
 
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