第172回 平成22年5月13日
(第285回 細胞工学研究会講演会)
演題 殺虫剤はなぜ安全か?
楢橋敏夫(ノースウェスタン大学医学部)
 楢橋先生は、1950年代から殺虫剤の作用機構研究を始められ、数々の顕著な業績をあげられました。その中には、ノーベル賞学者ミュラーが発見した殺虫剤DDTや蚊取線香の成分ピレスロイドが虫に効くのは神経軸索のナトリウムチャネルを持続的に開口させるためであることや、農業用殺虫剤あるいは外部寄生虫駆除薬として使われるフィプロニルという薬が虫に選択性を示すのは昆虫チャネルを特異的にブロックすることによるという発見などがあります。またフグ毒中毒は、テトロドトキシンというトキシンがナトリウムチャネルを塞ぐために起こるということを1960年代に発見され、この発見は後のチャネル研究の端緒として一世を風靡しました。
 今回の講演では、イオンチャネルの修飾を通して、殺虫剤が害虫に対する選択性を発揮するメカニズムについて電気生理学的結果をもとに分かりやすくお話される予定です。長年第一線で活躍されてきた偉大な先生から、どのようにして大きな発見がされ、それがどのように展開されたか、そして今後どう発展するのかをお聴きすることは大変有意義なものと考えています。
 
←戻る


©島根大学 総合科学研究支援センター 遺伝子機能解析部門 shimane-u.org