第164回 平成21年4月9日
(第276回 細胞工学研究会講演会)
演題 遺伝子発現の正確性を保証する新たな品質管理機構
稲田利文(名古屋大学大学院)
 細胞の品質管理機構によって厳密に異常RNAが識別・排除されることにより、遺伝子発現の正確性が保証されている。例えば、ヒトの遺伝病の主要な原因変異であるナンセンス変異を持つmRNAは、翻訳終結の異常が引き金となって特異的分解系(NMD)により分解される。我々は、終止コドン自体を含まないノンストップmRNAの発現について解析し、真核生物のmRNAの普遍的な修飾であるポリ(A)鎖が、翻訳開始とmRNA安定性制御に加えて、品質管理機構にも重要な役割を果たすことを明らにした。この異常タンパク質の分解による発現抑制が、品質管理における普遍的なメカニズムである可能性を示唆する結果も得ている。ナンセンス変異を持つ異常mRNAから正常な遺伝子産物を合成させる薬剤による治療法の現状についてもあわせて紹介したい。(演者記)
 
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