第153回 平成19年10月4日
(第262回 細胞工学研究会講演会)
演題 細胞周期を制御する分裂期キナーゼAurora−細胞周期の基礎とがん治療への応用−
浦野 健(島根大学医学部)
 細胞周期の基礎を、動画をふんだんに利用し、初心者からがん研究者にいたるまでわかりやすく解説するとともに、我々が研究テーマとしている分裂期キナーゼAuroraを中心にキナーゼの構造学的特徴とそのがん治療への応用をお話しする。
 ショウジョウバエや酵母において中心体成熟および染色体分離の調節タンパク質として同定されたプロテインキナ?ゼAuroraのヒトホモローグは現在,Aurora-A, -Bおよび-Cの3種類存在し,互いに非常に類似した一次構造を有している。ヒトAurora-Aは,様々ながん細胞においてDNA増幅や蛋白質の発現増強が認められており,また造腫瘍能を有することも明らかとなった。局在は中心体および近傍の紡錘体であり,中心体の成熟,染色体分配および紡錘体の制御を行っている。一方,ヒトAurora-Bは染色体上に存在し分裂後期になるとミッドゾーンへと移行する染色体パッセンジャータンパク質である。機能面では染色体凝縮に関与するヒストンH3の細胞分裂期キナーゼであり,動原体の機能制御や細胞質分裂に必須であることが報告されている。ヒトAurora-CもAurora-Bと同様に染色体パッセンジャータンパク質であるが、遺伝子改変マウスの解析からさらに精子形成において重要であることが示された。
 ヒトAurora familyが細胞周期、特に分裂期をどのように制御しているのか?構造学的基盤を基に、どのようにがん治療へ応用することができるのかなどを最近の知見も交え、お話ししたい。(演者記)
 
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