第15回 平成8年1月24日
(第115回 細胞工学研究会講演会)
演題 遺伝子の水平伝搬−タバコのゲノム中に見つかったアグロバクテリウムのrol遺伝子群−
市川尚斉(Friedrich Miescher Institute)
 病原性の土壌細菌の一種であるアグロバクテリウムは、それが保持するDNAの一部を植物細胞へ転移させることが出来るために、トランスジェニック植物を作出する手段として、最も広く用いられています。これに加えて、細菌の感染により、植物の遺伝情報が変化しうることは、生物の進化を考える上で、興味深い現象でもあります。
 市川博士は、植物の"ガン"とも言える、遺伝的腫瘍の形成機構をタバコを材料にして、研究されてきました。最近、博士はこの遺伝的腫瘍の原因となる遺伝子が、アグロバクテリウムのものと極めて類似していることを発見しました。このことから、細菌起源の遺伝子が、タバコの進化の過程でその染色体DNAに取り込まれ、タバコの遺伝子として働くようになったのではないかという、興味深い説を提唱されています。
 今春から、Max-Planck-Institute(独、ケルン)に移られるのを前に、一時帰国され、東京、名古屋、奈良での講演の後に松江に立ち寄られます。遺伝子や生物の進化に関心をお持ちの方々の御聴講を歓迎します。
 
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