第145回 平成18年10月19日
(第253回 細胞工学研究会講演会)
演題 SPEED98掲載化合物およびその関連化合物のアンドロゲン受容体アンタゴニスト活性に関する三次元構造活性相関
赤松美紀(京都大学大学院)
 わが国では,環境中に存在するさまざまな化合物が内分泌かく乱作用を示すか否かを確認するため,それらの中から優先的に評価する化合物のリスト「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」を作成し,その評価を実施してきた.その結果,これまでに内分泌かく乱作用を発現する事が確認された化合物の化学構造は多様であり,単純な推測によりその作用を予測することは極めて困難であるとされてきた.
 本研究では,供試化合物のアゴニストおよびアンタゴニスト作用を判別できるレポーター遺伝子系(ヒト乳がん細胞MDA-MB-453-kb2)を用いてSPEED'98掲載化合物およびその関連化合物のアンドロゲン受容体(AR)かく乱活性(ARアゴニストおよびアンタゴニスト活性)を評価した.その結果,ARアンタゴニスト作用のみを示した化合物,低濃度でアンタゴニストおよび高濃度でアゴニスト作用を示した化合物シリーズ,アゴニスト作用のみを示す化合物群が見出された.ARアンタゴニスト作用を示した化合物群それぞれについて,得られたアンタゴニスト活性の三次元構造活性相関解析,CoMFAを行い,活性発現に必要な構造を解明するとともに,アゴニストおよびアンタゴニスト構造の差異について知見を得た.これらの知見は,X線結晶解析から得られたAR-リガンド複合体の情報と矛盾しないものであった.
 これは,名城大学,田村廣人先生との共同研究である.(演者記)
 
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