第135回 平成17年11月16日
(第243回 細胞工学研究会講演会)
演題 イネにおけるインドール酢酸の生合成と代謝
宮川 恒(京都大学大学院)
 インドール-3-酢酸(IAA)は植物ホルモンオーキシンの1種であり、伸長生長、器官の形成や分化、屈性、頂芽優勢など、植物の生長制御において重要な役割を果たしている。IAAは最初に発見された植物ホルモンであり、多くの研究がおこなわれてきたにもかかわらずその植物体内における存在量を制御する上で重要な役割を果たすと考えられる生合成や代謝には未だ不明な点が多い。とくに主要作物であるイネに関する知見が少なく、代謝や生合成に関与する酵素の遺伝子はほとんど明らかにされていないし、植物体内での動態もよくわかっていない。
 IAAの生合成経路は複数提唱されているが、現在のところアミノ酸であるトリプトファンがその前駆体であるとする説が有力である。ただしトリプトファンからIAAに至る経路の解明は不十分である。植物中のトリプトファンに関して、近年我々はフィードバック非感受性に改変したイネ由来のアントラニル酸合成酵素遺伝子を過剰発現させることにより、含量を顕著に増加させることに成功している。このようなトリプトファンを過剰に蓄積する植物は前例がなく、IAAの生合成や代謝に何らかの影響が生じている可能性が推測される。今回はこの形質転換植物を用いて現在進めているIAAとその代謝物の分析、さらには新規代謝物の探索に関する研究を紹介します。(演者記)
 
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