第131回 平成17年9月5日
(第239回 細胞工学研究会講演会)
演題 植物のホウ素輸送の制御機構と応用
藤原 徹(東京大学生物生産工学研究センター)
 ホウ素は植物の必須元素であるが、その輸送体は長く知られていなかった。正常な生育に高濃度のホウ素を要求するシロイヌナズナのbor1-1変異株から生物界で初めてのホウ素トランスポーターBOR1が同定された(Nature 2002)。BOR1は根から地上部への効率的なホウ素輸送に必須な排出型のホウ素トランスポーターである。
 BOR1の相同遺伝子はシロイヌナズナには6つ存在しており、BOR1とは発現やホウ素輸送における役割が違っている可能性が高い。また、BOR1の蓄積はホウ素栄養が乏しい時には細胞膜に蓄積するが、ホウ素が豊富に存在する様になると、細胞内小胞を介して液胞に輸送され分解される(PNAS in press)。このような制御は、環境条件に応じて必須であるが高濃度に存在すると毒性を持つホウ素を、適当量地上部に輸送することで、幅広いホウ素濃度に対応して生育するために必須であると考えられる。講演ではBOR1を利用した作物改良の可能性についても触れたい。(演者記)
 
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