第130回 平成17年9月9日
(第238回 細胞工学研究会講演会)
演題 メダカCYP3A酵素周辺の生態分子毒性研究
柏田祥策(国立環境研究所)
 環境に与える化学物質の毒性影響は,化学物質の曝露を受けた生物個体の細胞内分子を起点として,濃度依存的に生物個体の変調および死亡,個体群そして生物群集の絶滅を引き起こす。個体レベルの化学物質の影響は,mRNA,DNAまたはタンパクの誘導または抑制といったカスケードを経由して発現される。メダカは生態毒性学研究において最も用いられている実験魚であり,最近はゼブラフィッシュとともに,ラットおよびマウスに次ぐ脊椎生物のモデルとしても重要視されている。演者らは,メダカを用いて,性機能発現に関与する重要なステロイドホルモン代謝酵素cytochrome P450 3A(CYP3A)におけるxenobiotic影響について研究を行っている。これまで,新規CYP3A酵素であるCYP3A38および40を同定するとともに,baculovirus gene expression systemを用いてこれら酵素タンパクの誘導に成功した。誘導酵素を用いたin vitro実験では,CYP3A38および40はそれぞれ異なる代謝スペクトルを示し,さらにxenobiotic存在下では酵素活性が加速化するcooperativity現象を魚類で初めて報告した。その一方で,in vivo実験ではxenobiotic曝露によってCYP3A38および40の発現が抑制され,別のステロイドホルモン代謝酵素CYP19が誘導されることにより,テストステロン代謝がオス特異的なものからメス特異的へと変化することを見いだした。(演者記)
 
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