第101回 平成15年8月5日
(第209回 細胞工学研究会講演会)
演題 ビルトイン型キノン補酵素−その多様な生成機構と触媒機能−
谷澤克行(大阪大学産業科学研究所)
 生体内でさまざまな反応を司っている酵素は、タンパク質でできた生体触媒である。しかし、単純タンパク質からなる酵素は意外と少なく、多くの酵素は金属イオンや補酵素などの補欠分子を含んでいて、これらの助けを借りることによりはじめて多彩な反応を触媒できる。こうした補酵素が新しく発見され、その構造が決定されるのは近年では極めてめずらしいことである。しかし、1990年代になって、トパキノン及びトリプトファントリプトフィルキノンという2種類の新しいキノン型の補酵素が相次いで構造決定された。これらの新規補酵素は、B群ビタミンに由来する従来の補酵素とは異なり、いずれもタンパク質中のアミノ酸残基が翻訳後修飾を受けて生成する。いわば新築家屋のビルトイン家具のように、ポリペプチド鎖中に最初から組み込まれている"ペプチド・ビルトイン型"の補酵素である。さらに、最近のX線結晶解析を中心とする構造生物学的研究の急速な進展により、種々の酵素中に新しいビルトイン型補酵素が相次いで見いだされている。本講演では、特殊な変換因子や前駆体タンパク質に内在する自己変換機能により形成されるビルトイン型補酵素の多様な生成機構とその触媒機能について紹介する(演者記)
 
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