第69回 平成4年11月19日(木)

演題 T細胞レセプターによる抗原認識
   垣洋太郎(三菱化成生命科学研究所分子免疫学研究室長)

演題 有用酵素のタンパク質工学
   別府輝彦(東京大学農学部)
 
1.動物の免疫系は種々の細胞から構成されているが、外来の多様な抗原に対しては、B細胞が抗体である免疫グロブリンを産生し、T細胞が自らの表層状にあるT細胞レセプターで特異的に抗原を認識して対処している。この免疫応答において免疫グロブリンを歩兵とするなら、T細胞は司令官となる。免疫反応の最初の情報戦はT細胞レセプターによる抗原認識によって起きるともいえよう。抗原認識の構造解析は最近大きく進歩した。その中心で活躍されておられる先生が、ホットな話題を面白く分かりやすく講演されます。博士新システムの特徴なども話される予定です。雑誌ネイチャー最近号による「貧困に喘ぐ日本の国立大学」はこれからどうなるのでしょう。

2.酵素の優れた生態機能や高次機能を解明することは、生命科学における最重要課題のひとつである。遺伝子工学の進歩によって、今や酵素タンパク質の分子設計も可能になりつつある。酵素機能の改良、強化、安定化、新規構築等に関する研究は急速に発展しており、近い将来、失活しない夢の酵素、難分解性の毒物を分解するヘルパー酵素等出来るかもわかりません。そのタンパク質工学の領域で最先端の研究の中心におられる先生に、最近の興味深い話題を分かりやすく講演していただく予定です。