第394回 令和5年9月14日(木)
(第269回 遺伝子機能解析部門セミナー)

演題 食の機能性成分の幅広い有効活用 −オリーブとアシタバに焦点を当て−
宮崎 均 氏(筑波大学名誉教授・株式会社食機能探査研究所 取締役)
 
 我が国の平均寿命は着実に延びているものの、健康寿命とのギャップが問題となっている。このギャップを埋め健康長寿を目指すため、「運動」や「休養(睡眠)」と合わせて「食」の重要性が国民の間に浸透しつつあり、現在の健康食品市場は約1兆円に達する。食の機能性成分やそれらの健康効果は多岐にわたるが、本セミナーでは、地中海の食文化を代表するオリーブの成分、日本原産で不老長寿の妙草と言われるアシタバの成分に焦点を当てる。我々は食成分の幅広い有効活用を目指しており、肥満、高血糖、アレルギーなど活用例の多い疾病ではなく、ここではストレス性生殖障害、及び慢性腎臓病とそれに伴う筋萎縮への応用という我々のユニークな研究成果をご紹介する。ストレス性生殖障害は少子化問題だけでなく、骨粗鬆症にも繋がる疾病である。また、慢性腎臓病を含む種々の疾病や加齢によるストレスは筋萎縮をもたらし、結果的に寿命短縮へ向かうと考えられている。