演題2: 加齢と摂取ネルギー過多により肝臓で合成される胆汁酸の内訳が変動し、その状態での胆汁酸の組成・濃度は概ね特定される。したがって、特定の胆汁酸を実験動物にごく少量与えることで、当該状態での生体の胆汁酸環境を模倣した状態を構築できる(4)。その結果、脂肪肝や消化管透過性の亢進、血中アディポネクチン濃度の低下などの不具合が生じることを見出した。これらのことは、食生活の偏りで生ずる軽微な代謝変化が非感染性疾患の発症に関与すること、当該代謝状況を模倣した食事成分の制御だけでも非感染性疾患への進展途上の状態を作り出すことができること、さらに、この実験系自体が「未病」のモデルとなり得ることを示している。現在、これらの発症メカニズムを解析しつつ、食品による介入による未病症状改善(5)機構の解明を目指している。
(1) Fukushima, et al. Lipids, 36, 129-134 (2001).
(2) Ohba, Fukushima, et al. Biosci Biotechnol Biochem, 69, 1988-1991 (2005).
(3) Kitano-Okada, Fukushima, et al. J Sci Food Agric, 92, 2644-2651 (2012).
(4) Islam KBSM, Ishizuka S et al. Gastroenterology, 141, 1773-1781 (2011).
(5) Lee Y, Ishizuka S et al. Br J Nutr, 116, 603-610 (2016).