遊泳には、尾鰭、胸鰭、背鰭、腹鰭、臀鰭を使用する。これらの鰭を動かすのはもちろん骨格筋であり、さらにこれらの筋の興奮・収縮を支配しているのは、脊髄にある運動ニューロンである。しかし遊泳パターンは、運動ニューロンのみの働きによって作られているのではなく、より上位の脳に存在する運動前ニューロンが深く関わっている。魚類では具体的にどのような運動前ニューロンが存在しているのか、またそれらの生理学的役割がどうなっているのか、については不明点も多いが、尾鰭と胸鰭に関する現在の知見を紹介する。
生態の多様性を反映して、形態学的・機能的にも特殊化した鰭を持つ種も存在する。セミナーの最後に極めて特殊化した鰭についても紹介する。(演者記)