二光子顕微鏡は、フェムト秒パルスレーザーを用いて組織深部を観察する顕微鏡である。脳科学分野を中心に応用されているが、これまで他分野へは十分に展開されていない。我々は二光子顕微鏡により花の深部で進行する生殖過程の解析を進め、雌しべ内部での花粉管ガイダンスや、種子組織内部での胚発生をリアルタイムで捉えることに成功した。これにより、複数ある種子組織1つ1つに花粉管が1本ずつ選ばれてガイドされる仕組みや、初期胚の細胞が周囲の細胞とのコミュニケーションにより柔軟に運命転換する仕組みなどが明らかとなってきた。本セミナーでは、最新の二光子顕微鏡法について紹介するとともに、名古屋大学のライブイメージングセンターの取り組みについても紹介したい。
参考文献:Hamamura et al. (2011) Curr. Biol.; Kasahara et al. (2012) Curr Biol.; Maruyama et al. (2013) Dev. Cell ; Hamamura et al. (2014) Nat. Commun.; Mizuta et al. (2015) Protoplasma ; Maruyama et al. Cell, in press