第33回 昭和62年12月1日(火)

演題 微生物農薬Bacillus thuringiensisの殺虫性タンパク質の遺伝子レベルでの解析とタンパク質工学
駒野 徹(京都大学農学部)
 
 グラム陽性菌Bacillus thuringiensisはδ-内毒素と呼ばれる結晶性タンパク質を生産する。この毒素は一般に麟翅目昆虫(蛾など)に対して毒性を示すが、亜種var. Israelensisの生産するδ-内毒素は、双翅目昆虫(ハエ、蚊、ブヨなど)に殺虫性を示す。
 このように微生物農薬として有用なδ-内毒素の遺伝子クローニングに成功し、詳細な構造、プラスミドとの関連性などについて解析した。さらにδ-内毒素の改変を遺伝子レベルで行い、より実用的なδ-内毒素の改変を目指している。
 松食い虫などの有害病中生物による自然破壊は、緑の山野を荒廃させその生態系を乱します。バイオテクノロジーの最新技術を駆使して選択性の優れた無公害の有効な天然(微生物)農薬の開発が強く期待されているといえましょう。
  本講演はこのような重要な課題に関して、上述のような最先端の興味深い研究についてたいへん分かりやすくそして明快にお話ししていただく予定です。